イタリアの歴史を堪能できる希少なオーガニックベルモット
グラスに注いだ瞬間に放たれる数々のアロマ達。顔を近づけると、無限に広がる濃厚なハーブと果実香に圧倒されます。それもそのはず、このベルモットに使用されているハーブやスパイスは、なんと20種類以上。ベルモット赤は、白に比べて香ばしさとビター感が増しています。
オレンジピールやレモンのコンポートなどの凝縮感のある柑橘系アロマに、ヨモギやフェンネルなどのグリーンハーブにシナモン、クローブ、ナツメグ、ジンジャーなどのアクセントが効いたスパイス香。グラスを回すとユリやカモミールなどの華やかでフローラルな香りも。
味わいに厚みとボディを与える甘味と果実味がベースにあり、全体のバランスを整える酸味も目立ちませんがしっかりと存在しています。ハーブやスパイスによる苦味と香ばしさもゆっくりと追うように感じられ、なめらかな舌触りと綺麗に調和しています。
アルコール度数は一般的なワインより若干高いため、風味や味わいをよりダイレクトに感じます。飲んだ後には特にハーブと濃厚な柑橘系アロマがとビター感があり、最後までインパクトの強い味わいを楽しむことができます。
余韻はとても長く、全ての味わいの要素がバランス良く整っていますが、ビターテイストと香ばしさがプラスされている印象です。本場に倣って、よく冷やすか氷を浮かせて食前酒や食後酒、また炭酸水などで割ってカクテルにするのもお勧めです。
ベルモットとは?
ベルモットとは白ワインをベースにして、ニガヨモギを始めとしたハーブやスパイスなどの香味を用いて造られるフレーバードワインです。ドライベルモットやスイートベルモットなどがありフランスではドライベルモットが主流、イタリアではスイートベルモットが主流と言われています。
アルコール度数は14~20%とワインより高いものもあり、カクテルの材料として大変よく使われています。
マヴィで取り扱っているロヴェロ家のベルモット白と赤は両方ともイタリア産のスイートベルモットです。
ベルモットの造り方
ベルモットは、ベースとなる白ワインにハーブやスパイスをアルコールで抽出したエキスや砂糖を加えて熟成させて造られます。ベルモット赤にはさらに焦がした砂糖も加え、深い色合いと風味を出します。
- アロマの原材料となるハーブやスパイスを用意
- それぞれを混ぜ合わせて、アルコールに入れてエキスを抽出する(約1カ月)
- 抽出したエキスと30%程のアルコール、砂糖(ベルモット赤の場合は焦がした砂糖も)、白ワインをタンク内で混合
- 混合したものを冷やしてフィルターにかけ、約6カ月程タンク内で熟成
- ボトリング
昔は薬用だった、ベルモットの歴史
ベルモットの歴史は大変古く、ギリシア時代の有名な医者であるヒポクラテスがワインにシナモンと蜂蜜を入れて患者に飲ませたのが起源とも言われています。
ベルモットの語源を辿るとドイツでワインにニガヨモギを混ぜたものがベルムートWermut(ニガヨモギのドイツ語)と名づけられ、後にこれがラテン語に変わり、現在のベルモットになりました。
ルネサンス期には東洋のスパイスが広く使われるようになり、シナモン、クローブ、ルバーブなど新しい香味が次々と生まれ、レシピに加えられていきました。
15世紀中頃から、イタリアのピエモンテ地方は蒸留技術の鑑として地位が確立し始め、18世紀にはトリノから多くの有名な生産者が生まれ名が広まっていきました。そのおかげもあってか、ベルモットは薬用酒から食前酒と変わり始めていき、トリノの街中には工場や酒屋、薬局などが多くでき始めてきました。
トリノの街ではリキュール職人と菓子職人が彼らのために出来た大学"Università dei Confettieri e Liquoristi della Città di Torino"に入学し、この伝統をより栄えたものにするために勤勉に励みました。そうして新しいフレーバードワインのレシピを考案し、華やかな香りを放ち、アルコール度数も高くして、長期保存が可能な製品である瓶詰めされた「ベルモット ディ トリノ」が誕生しました。
かつてイタリアのピエモンテ、フランス、フランス語圏スイスにまたがるサヴォワ一帯を支配していたサヴォイア家でもこれらのべルモットが愛飲、評価され「ベルモット ディ トリノ」はより世界的にも伝統を重んじた確固たる存在へと成っていきました。
また、ベルモットに関するイタリアの法律は1933年11月に始まり、産地呼称制度を用いたフレーバードワインとしては初めてベルモット ディ トリノ認められ、今もなお保護され続けています。
伝統と歴史のある「ベルモット ディ トリノ」ですが、ロヴェロ家もベルモットの歴史と発展に貢献をしている側面もあります。200年代初頭にはロヴェロ家の蒸留所で伝統的なピエモンテ州のベルモットと一般的なフレーバードワインの研究などが行われていたそうです。
ベルモット 赤と白の違いは?
ワインに赤ワインや白ワインがあるように、スイートベルモットも赤と白で区別されることがあります。違いは白ワインと赤ワインを使用しているの?と考えてしまうところですが、流通されている殆どのスイートベルモットは赤も白も「白ワイン」から造られています!(※赤ワインやロゼワインを使う生産者も存在します)
では、あの赤色はどこから?と思われることでしょう。
答えは「焦がした砂糖」です。
スイートベルモットを造る過程で砂糖を加える過程があるのですが、ベルモット赤には砂糖、そして焦がした砂糖も加えることによってベルモットを綺麗な琥珀色にしています。
ロヴェロ家のベルモット白と赤も両方白ワインをベースに造られ、赤は伝統にならい焦がした砂糖を使用しており、ベルモット白とはまた違った芳醇な香りと気持ちビターな味わいが大人の気分にさせてくれます。
ベルモット ディ トリノ~ロヴェロ家のレシピ~
「ベルモット ディ トリノ」はピエモンテ産のワインを50%以上使用し、ベルモットにおいて特に重要なハーブであるニガヨモギはピエモンテ州で採れたものを使います。
ロヴェロ家のベルモットのベースに使われるのは自家醸造されたリースリング・イタリコの白ワインです。あくまでベースである白ワインは主張しすぎないことが大切なのだとか。
使われているハーブやスパイスは実に20種類以上!それぞれのハーブには使用量の制限がありますが、ロヴェロ家ではその基準をはるかに下回る量しか加えていないそうです。これもロヴェロ家のベルモットが、香り高くもスムースで飲みやすい理由のひとつなのかもしれません。
ベルモットの赤と白で配合は異なりますが、使われているハーブやスパイスをいくつか教えてもらいました。
ロヴェロ家のベルモットに使われているハーブ&スパイス
ヨモギ、フェンネルシード、コリアンダーシード、ローレルの葉、カモミールの花、シナモン、ジンジャーの根、アンジェリカの根、クローブ、ナツメグ、ビターオレンジピール、ゲンチアナの根、ネトルの葉、スイートオレンジピール、キャロブのさや、ジュニパー、ルバーブの根、アイリス、クラリセージ、レッド・チャイナ、レモンピール、ベルガモットピール、エルダーの花、リコリスの根 など
ベルモットの飲み方やタイミング
ベルモットはイタリアやフランスでは食前酒として大変親しまれています。よく冷やすか、氷を少し浮かべて飲むとベルモットのそのままの味わいが楽しめます。そのほかソーダやトニックで割るのもおすすめ。
またベルモットはカクテルの材料としてもよく使われています。
スイートベルモットを使ったカクテルで有名なのは「カクテルの女王」とも呼ばれるマンハッタン。
そのほかマティーニのドライベルモットをスイートベルモットに変えた「スイートマティーニ」や、ジンやカンパリを使った「ネグローニ」、スイートベルモットにレモン果汁とジンジャーエールを加えた「イタリアン カントリー クラブ」などがあります。