モダンなボルドーワイン
紫を帯びたガーネット。
ブルーベリーやクランベリーの果実香にクローヴや黒胡椒などのスパイス、杉、煙草の葉、ややスモーキーな香りも。口当たりは穏やかで、若々しい果実味と程よい酸味でグラスが進む軽快な味わい。
ポーレットおばあちゃんの後を継ぐピエール

ラビュゾン家はポーレットおばあちゃんが造るクラシカルなワインが人気で、マヴィの中でもファンが多く長年皆様に愛されてきたワイン農家のひとつです。パワフルで温かい人柄のポーレットおばあちゃんですが、1926年生まれの彼女はもう御年90歳を超え、働き続けてきた体をいたわるために、惜しまれつつも引退しました。
ポーレットのドメーヌを引き継いだのは息子のピエール。彼は以前から父(ポーレットの亡くなられた旦那様)の畑を引継ぎ、ラビュゾン家のお城でワイン造りをしておりました。
彼が手がけるワインは、ポーレットの昔ながらのボルドーワインの味わいとは異なり、とても現代的で洗練されています。ピエールのワインを、ポーレットおばあちゃんのワインをよく知る皆さまに「ラビュゾン家」のワインとして紹介すると、そのイメージの違いに驚かれると思います。
ワイン農家では世代が交代すると味わいが変わることはよくあります。マヴィでオーストリアのディヴァルト家のように、親世代のときは大衆的な味わいのテーブルワインだったものが、研究熱心な次世代によって新しいスタイルのワインに生まれ変わることもあります。
マヴィでは世代が変わったときに、そのワイン農家さんとお取引きを続けるかどうかということは、とても重要な課題なのです。
ラビュゾン家は特に、マヴィ代表田村のノスタルジーもあり、ポーレットへの思いもあり、引退後も即座に切り替えることはなく、ポーレットおばあちゃんの蔵のストックワインが売り切れるときを待っていました。
現代ボルドーの魅力
こうして皆さまにまたラビュゾン家のワインをご紹介することになったのは、ピエールが手がける次世代のワインが、とても素晴らしく、また現代的なボルドーワインらしい、エスプリとインテリジェンス、そして挑戦に満ちていたからです。
伝統的なフランス料理は重い味わいのものが多く、特にボルドーでは牛肉を中心とした赤身肉に負けない力強いワインが好まれてきましたが、現代では生活様式の変化とともに、食卓もワインもより軽やかな方向に変化してきました。
長い伝統を持つボルドーワインにも、そんな食生活の変化に合わせて、わかりやすく、飲みやすく、様々なシーンや食事と楽しめる裾野を広げた味わいのワインが次々と登場しています。
ピエールのワインは、まさにそのひとつ。親しみやすく、気軽に食卓で取り入れられるスタイルのボルドーワインです。
ドメーヌ デュ ムーラン ナ ヴァンの魅力

グランヴァンで有名なボルドーはグラーヴ地区。ラビュゾン家のドメーヌ デュ ムーラン ナ ヴァンはランディラスという村に位置します。このあたりは、村を少し出るととどの道沿いにもぶどう畑が広がります。ラビュゾン家は、1668年時点で既にワイン農家を営んでいた何世紀もグラーヴでワインを造りつづけている一家です。
気候や土壌の特徴としては、大西洋気候ですが、ランド県の森(松林が中心)のお陰で、大西洋から来る風は遮られています。気温はちょっとつむじ曲がりなところもあって、やや高め。土壌は平面に位置し、畑の一部は石が多く、また一部は粘土・石灰質と砂が多い土質になっています。
土に与える養分も、海藻、岩の粉、オーガニック堆肥、緑肥といった自然由来のものばかり。そして病気などの対策についても、ボルドー液、硫黄の花、植物を煎じた液体のみに限っています。だからぶどうの木の足元は草で覆われており、クモなどもウロウロしています。

村は同じといえど、それぞれバラバラに暮らしているラビュゾンファミリーですが、日曜日のお昼は全家族が集合してゆっくりと食事を楽しみます。
野菜や果物は庭の菜園で取れたものばかり。パンは毎週マルシェに出しているオーガニックパン屋さんに1週間分を注文。土に還るものは全て庭に戻し、紙類などは庭で燃やしてしまいます。ただ食べるものだけでなく、生活全体がオーガニックなラビュゾン家。
ポーレットのオーガニックな精神はそのまま、より現代の生活に気軽に取り入れられるスタイルのオーガニックワインをぜひお楽しみください。