マントラー家
マントラー家のプロフィール
オーストリア・ニーダーエスタライヒ(生産地:クレムスタール)
マントラーホフ
Mantlerhof
2003年と2006年から(二段階に分けて転換)
フレッシュさを愉しむオーストリアワインの中で、長期熟成型の白を産出する国内外で評価の高い実力者。ぶどうのほか、小麦・大豆・サトウダイコンなどもオーガニック栽培。異なる畑が奏でる繊細な魅力を存分に発揮するワイン造り。
マントラー家の詳しい情報
【オーガニック歴】2003年と2006年から(二段階に分けて転換)
フレッシュさを愉しむオーストリアワインの中で、長期熟成型の白を産出する国内外で評価の高い実力者。ぶどうのほか、小麦・大豆・サトウダイコンなどもオーガニック栽培。異なる畑が奏でる繊細な魅力を存分に発揮するワイン造り。
すべてが長期熟成タイプ~少量生産の高品質ワインを産む実力者
立派な館の当主は、16世紀から続くワイン生産者の家系に生まれ、商業学を学んだあとウィーンの大学で農業科学を学んだ、個性的なヘアスタイルのヨセフ(セップ)さん。南アフリカ(Delheim)、ブルゴーニュ(Domaine Parent)にて研修。奥様のマルグリットさん、2人の娘さん(ヴィクトリアとアグネス)息子さん(ヨセフ)の5人家族です。
セップさんは手に入るものは何でも読む読書家にして、絵画の展覧会が好きという知性派です。もちろん、ワインと食事が趣味。
ちなみに、オーストリア(オーガニック)ワインの雄ニコライホーフのサース女史、ガイヤーホーフのマイヤー女史の従兄弟です。
農家としての歴史
かつてのキリスト教の修道院の敷地で、農業とワイン造りを行なうマントラー家。
セップさんのお父さんの代に(1910~1987年)栽培において非常に大きな変革を行ないました。機械が入れるよう、所有地全体に新しいテラスを造成し、新しい耕運システム、緑肥を導入したのです。彼のもっとも賞賛に値する功績は、生涯をかけてローター フェルトリーナーに取り組んだことであり、その品種の品質によって一目置かれる状況を創りあげたことです。
小麦、サトウダイコン、大豆、ひまわりなども栽培し、ニワトリも飼育しています。
やりがい
「あらゆる観点から、ワインというのは単に洗練された飲み物というだけでなく、守られるべき価値のある文化的功績であると思います。毎年ワインが再生されるその一部を担っていることは、非常に恵まれたことだと感じます」
と語るセップさん。
ポリシーは、毎年、その畑からとれるその品種がもつ特性を完璧に反映したワインを造ることだそうです。
オーガニック
力強く実るぶどう、緑豊かな畑、動物の穴
大学で受けた技術的な勉強にも関わらず、肥料や殺生物剤といった生産の過程で適用するものに関しては、基本的な考え方の中に、常に「グリーン」があったそうです。
マントラーホフがオーガニック転換にいたった決定的な要因は、2002年に起きた天災です。霰(あられ)を伴う大嵐と大水害を被ったのです。
洪水の写真
2002年から2003年に至る冬、振り返りの時間のあと、私生活でも仕事でも変化する時に来たと実感しました。
「同じことをこのまま続けていたら、モノカルチャーと土壌の劣化の結果、工業的農業は終焉へと向かうだろう」と考えたのです。
そして、2段階に分けてオーガニック農業へと転向しました。
1段階目は、畑(2003年60ヘクタール)、そして2段階目がワイン用ぶどう畑(2006年14ヘクタール)です。
「自己批判的」と自己評価するセップさんらしいコメントですが、彼はオーガニックで生産することに特に誇りをもっているわけではなく、より満足度が高まっただけ、だそうです。
それはつまり、
- より農業者らしくなり、自然の一部になった
- 土壌が生産の要素のなかでもっとも重要なものと考えるようになった
- 植物が語りかけていることについて、もっと集中して観察するようになった(小麦、大豆、砂糖ダイコンなども作っており、そちらも同じ)
- 緑肥や非常にシンプルな方法で植物を保護することにより、農薬や化学肥料業界のしがらみから抜け出せた
- すべてのワインの表現において、より個性が強まった
- しかし、、、毎年天候の影響にはより強くさらされる(最も高い生産リスク)
オーガニックからやや話はそれますが、ワインが全般的に、テクノロジー的なものにどんどん変化していることに対して不満があり、将来は手作りのワインを評価する人がたくさんいてくれる、あるいはそれが一般的になることを希望しているそうです。
ワイナリー
ドナウ河北岸の恵まれた条件にある畑
整然と並ぶぶどう、日当たりのいい畑
小さな村ながら、ほんの1時間ドライブすれば大都市ウィーンに着くという立地。そして変化に富むけれど極端なところのない気候は、白ワイン醸造にとって完璧です。
マントラーホフのワインは、複数ある畑により、それはいきいきとした酸味を伴うライトなものだったり、また最高の位置にある畑からは厚みがあってまろやかで、力強いものが生まれたりします。どのワインも長期熟成に適した構造をもっており、年を経ることで特別な特徴が出てきます。
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訪問時に試飲したリースリングカビネット1981、トロッケンベーレンアウスレーゼ シャルドネ1995&1999、ヴィンテージワインが眠るカーヴ
ワイン造り
ぶどう栽培においては、とにかく観察。ぶどうが何を必要としているのか、どのような影響にさらされているのかをしっかりと見抜き、土壌を腐食質で豊富にすることで、自然に土壌が豊かになることを目指します。
マントラーホフではぶどう以外の栽培も行なっているので、オーガニック素材を畑に持ち込むことが容易です。例えば、わらをぶどう畑に、など。
醸造では、その年の特徴が自由に表現されることを願いつつ、最低限の介入に抑えるよう心がけています。
畑面積 | 14ha |
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地質 | レス(黄土)。氷河時代からの風が運んできた堆積物で、それが棚状の畑を形成している。地層学的には非常に若く、6万年~1万年前のもの。石英、長石、雲母、方解石から構成されている。方解石は、接木の台木使用にとって非常に重要。レスの間隙率が、マントラーホフの基礎となる特徴にもっとも影響を与える。一部砂利(Steingraben)。 |
剪定方法 | 枝につき5-7の房がつくようにし、横に這わせる方法で、ぶどうの木1本あたり、12-14の房がつくように剪定 |
フィルター | 使用 |
清澄 | 行わない |
熟成方法・期間 | ステンレスタンク、従来の樫の大樽(小さい樽ではなく、木でできたタンク)。小樽は使用しない。春の瓶詰めまで木のタンクで熟成。 |
収穫方法 | 手摘み(幸いにも働いてくれる人がいるから) |
ぶどうの平均樹齢 | 古い樹は1971年~72年にかけて植えたもの |
気候 | 大陸性気候(夏は非常に暖かく、冬は寒くて乾燥している) |
補糖 | 1959年以来なし(1980年は非常に糖度が低くアルコールが8%になってしまったが足さなかった) |
景色 | ヨーロッパで最大の川の1つドナウ川の北岸に台地を伴った傾斜が続き、そこがぶどう畑になっている。 |

- グリューナーフェルトリナー1986年スピーゲルがシカゴで「白ワイン世界チャンピオン」に輝く
- オーストリアの雑誌Falstaffにて、90年代初頭に「今年のワイン生産者」としてトップで表彰
「日本のワイン愛好者の皆さんへ。
あなたの感覚を最大限に集中させて、あらゆるワインを試し、比較してください。最後には、音楽がそうであるように、新しい宇宙(世界)が開かれることでしょう。私のそれぞれのグリューナーフェルトリナーとリースリングには、ラベルに書かれている通り、それぞれ違った畑からできたワインです。その違いを感じられるくらい繊細になってみてください!」
セップ マントラー