グラン ヴァンに匹敵
凝縮感があり、非常に余韻が長く続くタイプ。グランヴァンに匹敵する、存在感のあるワイン。豚肉、鴨といったメインの肉料理にも負けない力強さが魅力。熟成を重ねると、白ながらにジビエ(鳩、雉など)にも合うそうです。
ドメーヌ名の「ベガ」は、七夕の織女星(こと座で最も明るい星)として知られていますが、スペイン語では「肥沃な土地」という意味があるそう。
「リベスの星」、「リベスのいい畑」という2重の意味があるのです。ちなみに、星のベガは、未来的には地球から見た北極星になるとのこと。しかしそれは12,000年後。壮大なロマンを感じさせます。
ボトルもスパークリングを思わせるようなクラシカルで高級感のある特別仕様。
飲んだときの満足も相当なものですが、開ける前から、手にする前から想像力を刺激するネタは尽きません。
★ワイン通にもおすすめ
マルヴァジアって何?
~スペインでエンリック バルトラさんにインタビューしてきました~
使用品種のマルヴァジアは現在イタリアでよく見られる品種ですが、スペインのこの地方の土着品種でもあります。
ただし、現在そのマルヴァジアを栽培しているのは2軒だけ。バルトラさんのマルヴァジアは辛口ですが、もう1軒は甘口ワインしか造っていないので、辛口のマルヴァジアは世界で1つ。幻の品種といえるでしょう。もちろん、オーガニックも世界で1つ!
Q.マルヴァジアの由来を教えて下さい。
A.マルヴァジアの名前の由来は、ギリシャの地名から(モンエンバシア)。恐らく地名がついているという意味では、世界で初めてのアペラシオン(例:ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ)と言えるのでは。マルヴァジアの中にも100種類くらいあり、ギリシア時代と同じものは、私が作っている「マルヴァジア デ シッジェス」と呼ばれるものです。
実際は、名前だけがマルヴァジアで似ても似つかないものがたくさんある。例えばマルヴァジア デ リオハ、マルヴァジア デ トロ、マルヴァジア デ サモラ、マルヴァジア デ ジル カナリアなどなど。イタリアのマルヴァジア ビアンカはほとんどミュスカにそっくり。本当はこういう品種に「マルヴァジア」の名前は使うのはちょっとおかしいかなと私は思います。
Q.何でそんなにたくさんの種類の「マルヴァジア」があるんですか?
A.マルヴァジアは、そもそも今のヴァンダンジュ タルディヴ(遅摘:晩秋~初冬の遅い時期に収穫して造る甘口ワイン)のような形で、本当に一粒ずつ選って収穫し、甘いワインでとても貴重なものとして流通していたのです。味わいも珍しかったので、「ワイン」と「マルヴァジア」、例えばワインとシェリーを別枠で考えるように、別のものとして扱われるほど特別なものでした。そういう特別な品種で、イメージがとても良かったので、各地で様々なぶどうがマルヴァジアと呼ばれるに至ったのです。
Q.そんなに人気のあるぶどうが、なぜ今は「幻の品種」となったのでしょうか。
A.他の欧州ぶどう同様、フィロキセラ(北米のぶどうと共に欧州上陸した虫。19世紀後半に欧州固有種のほとんどに壊滅的な打撃を与えた)でほとんど全滅してしまいました。人々が再びぶどうを植え始めた時、やはりまずは栽培が簡単で収穫量が高い品種が選ばれました。マルヴァジアは生産性が低く、何かと手間がかかり、うどん粉病にも弱いなどの理由から作る人がおらず、絶滅寸前になりました。
しかし、庭に数々の珍しい種類のぶどうを植えていたある裕福な紳士が、その庭を病院に寄贈することになりました。その時の条件が「これらのぶどうを作り続けること」だったのです。こういう経緯で、この希少なマルヴァジアも残っていたという訳です。その病院は我が家から4kmほど離れたシッジェスという町にあるのですが、話を聞いた途端、そんな大切な品種を絶やしてはなるまいと決意して栽培を開始しました。
Q.それは今からどれくらい前のことですか?
A.もう20年経ちますね。だから、うちのマルヴァジアは大体樹齢20年くらいです。この品種を復活させたことで、2004年にスローフード協会からPresidio(日本では「味の箱舟」と呼ばれています。ノアの箱舟のように、次世代にも残していかなくてはならないもの)という賞を頂きました。2006年にはイタリアで2年に1回開催されているサローネ デル グスト(スローフード協会主催の、珍しい食品が一堂に会する展示会)に出席し、パネルディスカッション等にもスピーカーとして参加しました。
Q.ベガ デ リベスのマルヴァジアの特徴を教えて下さい。
A.そもそものマルヴァジアはヴァンダンジュ タルディヴ(天然甘口ワイン)だったけれど、途中から酒精強化するポルトのような造り方をされていた時期もあります。私はアルコール添加はしたくないし、実がちゃんと熟すのは待つけれど、過熟はさせず、普通に食事中に飲める辛口ワインを造りたかったのです。それが私たち、ベガ デ リベスのマルヴァジアです。
このマルヴァジア デ シッジェス、今でも栽培している農家はたった数軒。マルヴァジア100%のワインを造っているのはわずかに2軒だけで、そのうちの1軒はアルコール添加の甘いものを造っています。もちろんオーガニックではありません。だから、マルヴァジア100%の辛口ワイン、しかもオーガニックを造っているのはこの世で私たちだけです。世界中で年間4500本しかありません。それも特徴といえるのではないでしょうか。
インタビューの感想
バルトラさんのマルヴァジアは、本当に本当に貴重なもの。知っている人しか飲めない、本当にすごいものです。もちろん、濃厚で肉と合わせても引けをとらない力強さ。スタッフの私が言うのもなんですが、この存在を知って輸入しているマヴィはすごい~!と素直に思いました。(2008年7月 長谷川)