オリセ家
オリセ家のプロフィール
フランス・南西
シャトー ラピュイヤド
Chateau Lapuyade
認証は1999年より
ピレネー山脈麓、標高300mのまるで絵のような村。除草はお隣の羊、そのお礼はおいしいチーズ、そしてそのお返しはワイン。本当に豊かな人間関係、食卓がここにはあります。収穫は全量手で、醸造は低温でじっくりと。
オリセ家の詳しい情報
【オーガニック歴】認証は1999年より
ピレネー山脈麓、標高300mのまるで絵のような村。除草はお隣の羊、そのお礼はおいしいチーズ、そしてそのお返しはワイン。本当に豊かな人間関係、食卓がここにはあります。収穫は全量手で、醸造は低温でじっくりと。
山の上の小さな村で物々交換から造られる極上デザートワイン
美しき山の上の小村
ジュランソンという名前(AOC)では、 白ワインだけがつくられます。
このワインは、アンリ4世が即位した16世紀には歴史に登場していました。ジュランソンは、フランス南西地方、ピレネー山脈のふもとにあり、たいてい傾斜地になっていて、畑は棚田のように段々、非常に小さな区画であることが多いです。この地を訪問した店主田村からも、感想を尋ねると、まず「とても景色が美しいところ!」という言葉が返ってきました。
ちなみに、ジュランソンはそのすぐ北にあるボルドーと比べると日本人にとっては馴染みの少ない名前ですが、同じ地方でタナとカベルネ フランからつくられるベアルンという赤ワインは、アンリ4世の母后ジャンヌ ダルブレのお気に入りだったとか。これは、現在30軒ほどでしか生産されていない、希少な赤ワインです(ベアルンは現在残念ながらマヴィでは扱っていません)。
マヴィには、思わず鼻高々に自慢してしまうほどのジュランソンがあります!
――その造り手は、オリセ家。
自然の中で、自然のままにワインを造る
オリセ家のご主人ジョゼフさんは44歳、奥様は35歳、7歳と4歳の娘さんがいます(2006年現在)。奥様は目元が少々ソフィー マルソーに似ています。ワイン名にもなっているお祖母様、マリ=ルイーズさん。
元々ご実家がワイン農家さんで、ジョゼフさんは1976年からワイン造りに携わり、1999年からオーガニック認証を取っています。畑の面積は7ha。真南を向いて、非常に太陽がよく当たる傾斜地にあります。その美しい畑で、長い間特別栽培をしていましたが、オーガニックに転換しました。その結果、除草剤や農薬をすっかり使用しなくなったために、化学的農業でダメージを受けていた生態系が自然な状態に戻ってきました。現在、ぶどう畑は周囲の自然と調和しています。
ドメーヌ内には、ヘーゼルナッツの木がたくさん植えられており、リスもたくさん住んでいます。雑草は自然のままにしてあり、冬の期間は羊にとって最適の牧草地になっています。手前がぶどうの木、奥にいるのが羊たち。スペースたっぷりの牧草地。この羊たちから美味しいチーズができるだけでなく、畑に栄養を与えてくれます。
畑は羊に、羊は畑に栄養を。オリセさんは羊飼いにワインを、そして羊飼いはオリセさんにチーズを。ここではそんな物々交換が今も行われています。
マヴィスタッフが訪問した時にも「これは近くの川でとれたスモークサーモンで…」といった風に地元の贈りものでおもてなしいただき、とても温かい気持ちになりました。
困難な「遅摘み」
ぶどうの収穫量は非常に制限しています。しかも、収穫は冬の最中(12月初旬)まで続くにもかかわらず、完全に人間の手を使って行います。機械は一切なし!加えて、良いぶどうを採るために、大変厳しく選別します。
ジュランソンの果実は10月下旬~11月初旬、ジュランソン キュヴェ マリ ルイーズは11月下旬~12月初旬に収穫します。普通は9月に収穫するぶどうを11月まで置いておくと、完熟して糖分が増えるだけでなく、水分が逃げるため、搾るととても糖度の高い果汁が採れます。これがジュランソンに使われます。
更に12月まで木につけたままにしておくと、ピレネー山脈の寒冷な気候のため、氷結して更に水分が奪われ、これを絞ると極めて糖度の高い果汁となります。これはジュランソンキュヴェ マリ ルイーズに使われます。こうして砂糖は添加せずにおいしい自然な甘口ワインが造られるのです。
(補糖は認められていますが、オリセさんは一切加えません)
しかし、ぶどうの実を11月、12月まで木につけておくということには大きなリスクがあります。天候によっては収穫に耐えられないようなダメージを受けることがあるからです。そのリスクにもかかわらずおいしいワインを求めるオリセさんの情熱が素晴らしいワインを産み出してくれているのです。
ぶどう栽培には、人間の努力ももちろんありますが、自然が非常に大きく影響します。この地域に特有の気候と南風が自然に果実を乾燥させ、ぶどうは健康に育ち(湿度が高いとぶどうが病気になったり、出来が悪くなります)、良いワインに不可欠な要素となる成分を、果実の中につくります。
ぶどうの品種はプティ マンサンと、グロ マンサン。この二つは、このジュランソンというワイン、つまりこの地域で造られるワインに最適の品種です。
「発酵はステンレスタンク。マリ ルイーズは新樽、ジュランソンは古樽で熟成。樽は大手の生産者のは品質が悪い。小規模生産者のものを使う。」こだわりを語るオリセさん。
特別な時にはこれがなくては!フランスの贅沢な文化
マヴィが扱っているジュランソンは、甘口リキュール系の白ワインで、アペリティフ(食前酒)、洗練されたフォアグラやスモークサーモン、ピレネーのチーズ、そしてもちろんデザートにも合わせていただけます。
つまり、お食事に一般的には前菜→メイン→デザートという流れを余り持たない我々日本人にとっては、プラスアルファのワインですね!もちろん、日常的に飲んでいただけたら一番嬉しいのですが、特別な時のお食事に、食後をゆっくり楽しむ時に、またはプレゼントやお土産に。そんな使い方をしていただくといいのではと思います。
店主がオリセ家を訪問したときには、様々なパテ(細かくしたお肉を固めて焼いたもの)と合わせてみたそう。ジュランソンは豚や鴨のパテ、よりこってりしたフォアグラの場合は、ジュランソン キュヴェ マリ ルイーズのほうがよく合ったそうです。
皆さまも是非、ジュランソンの甘美な世界をお楽しみください!
生産者訪問記(2006年9月)
到着は夕方。畑でお話している間に、みるみる暗くなっていきました。向かう途中、車中から見える山中(ピレネー山脈)の山間の景色が本当に美しかった。もう一度ゆっくり来たいと思った景色の1つでした。
畑、ぶどうなどのお話
見せてくれた樹はマリルイーズ用のぶどうでした。マリルイーズ用は、2回選り分けをする。アイスワイン系の造り。気温がマイナス3~4度になり、果汁が凝縮する。
収穫のタイミングは?熟した果実を好む鳥がよく来るようになるのがサイン。なんかとても親しみやすさを感じました。 冬の間の土地の管理は、草は生やしたままにしておく。
隣の650頭ほどの羊が来て草を食べ、耕して行ってくれる。
(写真は別の日に撮ったもの)
お隣さんには、引き換えにワインをあげて、お互い良い関係になっている。(物語に出てきそうなやさしい暮らしの様子でますます親近感。)そして今、もっといいぶどうを造ろうとしている。もっと標高の高いところで、バナナのような形をしている畑で、まんべんなく日が当たる良いところ。量を減らして、クリスマス頃収穫予定。補糖は認められてはいるが、オリセさんのワインは補糖しないのが特徴。
カーヴでのお話
カーヴの手前の外に、大きなコンテナがありました。
中には樽が入っている。冬はとても寒くて、冷たすぎるので、温度が下がり過ぎないように、コンテナの中に入れておく。 収穫後、圧搾は禁止されている。潰すのではなく、ゆっくり押すという感じ。通常のジュランソンでもは2~3hかけるところをマリルイーズは4~5hかける。21日間発酵させないように8℃を保っておき、ラボに持っていって調べてから、発酵開始。11℃から始めて、酵母は加えない。
タンク:スイッチを入れると8℃に保たれる。蓋をしたまで下げて、果汁が蓋を押し上げていく仕組み。すると、空気に触れずにすむ。
瓶詰前にごく薄いフィルターにかける。(マリルイーズ)
温度を少しずつマイナス9℃近くまで下げて、上澄みを取ると、酒石酸が取れる。
マリルイーズの熟成は樽熟で14~18ヶ月。ジュランソンも古樽で短い樽熟をする。
お食事
とても美味しいフォアグラを用意してくれました。フォアグラは近所のもの。
サラミ、生ハム、豚のパテは全て自家製。ご近所の豚を飼っている家で、オリセ家のも飼ってもらっていて、それを使用したもの。
番外編
家は1772年に建てられたという家で、快く見せてくれようとしていたが、時間が足りず、ゆっくり見ることができませんでした。古さが美しい、雰囲気が漂っていました。
とってもキュートで親しみやすい優しい笑顔を浮かべる、オリセさん、奥様、おばあちゃん、子供たちでした。
レポート:2006年9月(大和田)