3つの畑のぶどうから生まれた「真髄」
深紅のローブに、上品かつ大胆に複雑なアロマを放つ。スミレ、カシス、カカオなど。
口に含むと力強さとバランスの良さを感じる。タンニンは極めて柔らかく上品かつエレガント。黒い果実、カンゾウとわずかな胡椒の後味が飲み手を魅了してやまないワイン。
造り手のセブリーヌいわく、『表現と、感情のワイン』
この上ない高級感
アンフィニモンに続き、ヴルール ノワール、スクレ ド シストと、シラーの真髄に迫る作品を生み出したセブリーヌが、また新たなワインに挑戦しました。
シラーのワイン、重口の赤ワイン……このワインを形容する言葉を見つけるのが難しい。それほど「特別感」のあるワインです。
ポテンシャルもあり熟成も期待できますが、彼女の持ち前のセンスとバランス感覚が表れているのでしょう、まさに今飲んでも飲み心地を邪魔するような強さはなく、直感で「美味しい」と思うワインです。
1日目、2日目、3日目……とどんな変化があるか楽しみなワインですが、気づくとグラスが進んでおり、どうしても3日目までは残ってくれない魔性の魅力があります。
タンニンの豊富さを感じますが、適度な酸味が全体を支え、もたつく重さはありません。
確固たる信念がありながら、どこまでもエレガントで洗練された味わいは、まるで世界トップレベルの女優のようなイメージ。
このワインと「知り合い」であることを誰かに自慢したくなる、そんなワインです。
こだわりの「完全樽発酵」
自身のワイン造りにおいて「樽」の使い方をとても重視するセブリーヌですが、イプソファクトはボトルに詰められるまでの間はほぼ樽の中で過ごします。
実は赤ワイン造りにおいて、マセラシオン(浸漬)からアルコール発酵、そして熟成まで樽で行う「完全樽発酵、樽熟成」はとても珍しいことなのです。
一般的な赤ワインと白ワインの作り方を大まかに説明すると、赤ワインは皮や種と一緒にアルコール発酵をしてから絞って熟成、白ワインは先に果汁を絞ってから果汁だけでアルコール発酵、そして熟成を行います。
先に果汁を絞る白ワインは、果汁をそのまま樽に入れることができるので樽発酵を行いやすいのですが、赤ワインを樽発酵させる場合、樽の中にぶどうがそのまま入ることになります。
ステンレスタンクやセメントタンクであればある程度の容量がありますし、発酵後にワインを絞る作業もいっぺんにすることができます。
赤ワインを樽の中で発酵を行った場合、樽から発酵したワイン(と皮など)を取り出す作業も、樽の数だけ増えることになります。
更に、樽の中に残った皮などを取り除き、きれいにする行程も発生して手間がかかるため、よほどの高級ワインでないと用いることはほぼありません。
果実の選定から熟成までの手間暇
イプソファクトはまず手摘みで収穫したぶどうを房ではなく実ごとに1粒1粒選定します。
それを片面の蓋が開いた状態の樽に入れ、かき混ぜながら5週間かけて醸していきます。
醸しが終わると一度樽から取り出し果汁を絞ります。そして皮などを取り除いて綺麗にした同じ樽に再びワインを入れ蓋をします(そのためにわざわざ樽屋さんがドメーヌに来てその場で蓋をするそう)。
アルコール発酵が終わると、さらに18か月樽熟成してから、ようやく瓶詰を行います。
そして行程これだけ樽を使っていながらも、いわゆる樽らしい香りは控えめでぶどうの繊細な香りとのバランスが取れた上品な仕上がりです。
世界的なワイン誌でも高評価
世界中で多くの人が注目するワイン評価のひとつにワイン・アドヴォケイト誌の「パーカー・ポイント」があります。
己の実力を極めようとするセヴリーヌは様々な賞に挑戦していますが、このイプソファクト2015年がパーカーポイント97点を記録しました。ちなみに96点以上が最も高い評価になり「extraordinary(並外れている)」ワインとされます。
もちろん人の好みは様々なのであくまで参考ではありますが、世界的に有名なワイン誌でセブリーヌのオーガニックワインが高い評価を得たことは、やはり彼女の実力と熱意が並外れているからにほかなりません。