黒ワインと呼ばれるほど濃い色の極重口
ぶどうの平均樹齢は18年。収穫は手で丁寧に行っています。非常に深い色合いですが、その色から想像される以上にタンニン分が豊富で凝縮した仕上がりとなっています。飲み応え抜群で長期保存に向くワインです。
生産者のゴダンさんによると、ビオディナミ農法で作られたワインは開くのに時間が掛かるので、香りと味を十分お楽しみいただけるよう、少なくとも飲む2時間前には抜栓するのがおすすめだそうです。
キャップとコルクについた「ハートマーク」もポイント。
黒ワインについて
黒ワインとは、その非常に濃い色に由来する呼び名です。実際のタイプは赤ワイン。
色素成分であるポリフェノールが一般の赤ワインより多く含まれることにより、濃密な色が生まれます。ポリフェノールにはさまざまな作用があることが知られており、フレンチ・パラドクスが特に有名です。
フレンチ・パラドクス(フランスの逆説)は、動物由来の脂肪を多く摂取するにもかかわらずフランスなどでの心臓病による死亡率が低いことと、それらの国での赤ワイン摂取量の多さに関連を見出した研究です。
ちなみに、ゴダンさんはポリフェノールの抗酸化作用に注目し、ぶどうから抽出したポリフェノールで化粧品も製造しています(日本未発売)。
ドメーヌの魅力

ゴダンご夫妻
ポリフェノールが多い黒ワイン、アンチエイジングに効果あり、などと日本でも知名度が上がってきている、フランス南西地方のワイン、カオール。その近くのサン マートルという村にゴダンご夫妻は住んでいます。
ゴダンさんたちは、1987年、退職を機に、たったの1haの畑にぶどうを植えることから、ワイン造りを開始しました。理論を勉強してぶどう栽培とワイン醸造の免許(BPA)を取得したり、近所の親切なワイン農家さんからは実践的なこと、例えば樹の剪定や手入れ、醸造などを学んだりしたそうです。
しかし、慣行農業の農薬使用が受け入れられず、自然な方法で自分たちのぶどうを育てようと決意しました。
1991年に、「孫たちや仲間たちがずっと蝶を見ることが出来るように」ビオディナミ農法に転換しました。ビオディナミ農業組合(SABD)に加入して、定期的にビオディナミの認証であるdemeter認証を受けています。
1ha から始めた畑も順調に大きくなり、だんだんと環境も整えられてきて、ワイン造りに夢中だそうです。
シャトー ヴァン ドタンがあるロット県は素晴らしい地方と呼ばれていて、美しい景色と伝統を守る人々が住んでいます。昔ながらの石の混じった土壌で造られた家や城、鳩小屋などもあり、街を歩けば所々に中世の名残を見ることができます。
ゴダンさんのお宅も、伝統的な白っぽい石造りに、かわいらしいトンガリ屋根。

冬でも緑にあふれているぶどう畑
畑は木々に囲まれていて環境もよく、周囲に住む人々は偏見が少なく、愛想もよく、とても住みやすいそうです。
シャトー名になっているヴァン ドタンは、夏の終わりから秋にかけてこの辺りの地方に吹く、Vent d’Autan=南仏の激しい南風、という意味。