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フランスオーガニックワイン生産者訪問9

タリ家を辞して一路北へ、カオールのゴダンさんを目指します。
カオールは高速道路のルートから外れた過疎地、村々を抜ける街道をひたすら走り3時間。
約束の時間を過ぎて夕暮れが迫る頃にようやく目指すサンマートル村に到着。ゴダンさんは寒さをものともせず外に立って待っていてくれました!

ゴダン家の造り手は奥さんのアンヌさん。忙しく畑仕事や醸造を完璧にこなした上、県会議員まで務めるスーパーウーマン。実に堂々としています。ご主人のオリビエさんは料理や営業を担当し、ワイン副産物のポリフェノール入り化粧品に取組んでいます。

ゴダンさんと

カオールのワインは黒ワインと呼ばれるほどに濃く、ポリフェノール含有量が高いため、若い内は渋くて飲めたものではないけど、熟成を重ねるとまろやかさに変化します。重さ充分で合わせるのはフォアグラやトリュフといったフランス料理を代表するご馳走。とはいえ生ハムやチーズとの相性もよく、ちょっとしたもてなしにも贅沢感を演出します。オリビエさんがせっせと作ってくれるご馳走に大満足。

オリビエ ゴダン

ブルターニュ海岸ゲランド産の風で乾した塩に、カオールワインで色と香りを付けた自家製の特製塩は、甘さがあってステーキやサラダや温野菜に振り掛けるとおいしさが際立ちます。ピンク色がきれいで、実はそのまま舐めるとワインのあてになってしまうほどの逸品。僕もパーティーの際などに使ってお客さんをびっくりさせています。

トリュフ入りオムレツ

お腹が一杯になった後は化粧品Vino-Cure。オリビエさんとボルドー大学との共同研究で生まれた製品です。実は僕もここ数年来ゴダンさんの保湿クリーム、髭剃り後クリームなどを愛用しています。ポリフェノール入りでアンチエージング効果あり。残念ながら日本の薬事法の手続きが極めて面倒。少量輸入ではコストがかかりすぎるため、ゴダン家を訪問する時に自分と友人分だけ買って帰るだけで、日本では入手できません。
どこかか輸入してくれる会社があればいいのですけど…
福岡店の女性スタッフたちも自家用にたっぷり買い込んでいました。

日がとっぷりと暮れてボルドーへ夜道を続けるため、ゴダン家を辞しましたが、オリビエさんはずっと立って手を振って見送ってくれました。


田村安の6月のオーガニックワイン講座案内

6月は東京、福岡で開催します。

入門編@マヴィ赤坂本店
6月9日(火): 19:00〜20:30

ボルドー編@マヴィ赤坂本店
6月17日(水):19:00〜20:00


入門編@マヴィ福岡店
6月12日(金): 14:00〜15:30
6月13日(土): 14:00〜15:30

アルザス編@マヴィ福岡店
6月12日(金): 19:00〜20:00
6月13日(土): 17:00〜18:00
6月14日(日): 14:00〜15:00

by 田村安  at 14:44  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

政策概要

農地証券化及び営農株式法人による地方活性化の概要

                                        平成18 年4 月
1. 日本農業の将来ビジョン
・地方農村地域の活性化
・国産食糧の確保と自給率向上による食糧安全保障の確立
・国民に支持され購買される、安心で持続可能な国内農業環境の確保
・都市住民の農村地域の自然とのふれあいによる憩いの確保
2.ビジョン達成の方法
都市住民(国民)を「農地証券」や「営農法人株式」を媒介にステークホルダー(利
害関係者)として農村に関連付け、農業の担い手を従来の個人から社会へと移行させ
ていくことで国内農業の振興と持続を図る。
3.農地証券とは
自治体が農地土壌汚染除去と環境農業化に賛同する農民の所有農地の土壌改良権
を担保として発行する証券。対象農地を環境保全型のものに限定することで、都市住
民(国民)の農村活動への理解と協力を得ると同時に、国産農産物への購買意欲を持
続、向上させる。
4.営農法人株式とは
証券化された土地を賃借して営農に従事する営農株式法人が発行する株式。当該株
式を都市住民(国民)が購入することで、土壌改良後の営農にかかる資金を支えると
同時に、都市住民(国民)が農業経営に参加することで、経営ノウハウや消費者ニー
ズの提供を図る。また、農村に経営資金が入ることで、農業の生産性向上や雇用の発
生などの効果も期待される。
5.農地証券及び営農株式に係る国の責務
国民が農地証券及び営農株式を購入することは、本来国家の責務である「持続可能
な社会の実現」、「国産農産物の振興による食糧安全保障」に協力することであり、こ
れに係る国家支出を軽減し、地方経済振興にも利するので、国はあらゆる面で農地証
券及び営農株式について支援・優遇措置を図ることとする。
? 支援措置
・農地証券に係る土壌改良基金の創設(詳細、下記7.(2) )
・農地証券に係る農地の保護
→国は、担保農地が自然災害に遭った場合の復旧を証券発行者に義務付けるが、
2
復旧費用は国が負担し、証券所有者には損失を課さない。
? 農地証券、営農株式に係る優遇措置
農地証券、営農株式は譲渡可能。取引税・贈与税の対象外とする。
→制度の目的上、相続などによって農地面積を減らすことはあってはならない。
6.農地証券発行と流通のプロセスの概要
農地証券の発行主体は自治体とする。自治体は、管轄の農地証券発行を希望する農
家の農地について、土壌改良基金の融資の基に土壌改良を行い、証券格付機関から土
壌改良度合いに応じて証券格付を受けた上で、農地証券取引市場を通じて都市住民
(国民)に農地証券を販売する。
(注)登記簿上の農地所有者は現有農家で変更はない。
7.農地証券発行と流通のプロセスの説明
(1)農地証券発行の条件
? 証券発行を受けられる農家は、農業による水質汚染、土壌劣化等を食い止め、
地力と生態系を回復し持続可能な社会に貢献する者に限る。
? 農地証券発行の担保には環境保全型農業に適する土壌改良された農地のみが対象
となる。土壌改良の資金は土壌改良基金が融資する。
? 「土壌改良された農地」とは土壌に残留する農薬・化学肥料などの化学物質
を次の方法で除去した環境保全型農業に適する農地であり下記のものを指す。
A.JAS 有機認証基準を満たしている場合。
B.土壌を(30cm)以上掘削して表土層を除去して、原野等の土壌または施
設にて土壌改良処理を施した土壌に入れ替えた場合。
(2)土壌改良基金の創設
国は自治体に対して汚染土壌改良を行う際に必要な資金を貸し出す目的で基
金を創設する。基金は、下記の点に留意しつつ活動を行う。
? 事業対象農地の土壌改良権を融資担保とする。
? 貸し出した資金は無利子として、証券販売によって得た資金が返済に充てら
れる。
? 土壌改良事業を実行できなくなった場合は即時返済とする。
? 返済できない場合は担保農地を没収する。
(3) 農地格付機関の創設
各農地の土壌改良度合いに応じて、農地の格付を行う機関を創設する。基金は、
下記の点に留意しつつ活動を行う。
3
? 土壌改良の度合いを判定し3 ランク程度に格付を行う。
? 各県に機関を設置、その上に全国組織を設けて格付の差異が生じないよう
に監査する。
? 評価ランクに応じて証券担保の価値を決める。
? 評価ランクが上がれば証券の追加発行を可能にする。
(4) 農地証券・営農株式取引市場
農地証券・営農株式市場機構を非営利目的で創設する。
? 農地証券発行者は全てこの市場に登録する義務がある。
? 取引窓口は全国の都市、地方にネットワークを持つ既存の金融機関を利用
する。
? 短期保有を禁止する。(投機目的による影響を防ぐため)
? 農地証券を抵当、担保とすることを禁ずる。
8.農地証券所有者の権利
証券所有者は、下記のメリットを享受すると同時に、農村社会の一員として農村の
活性化を担う。
? 毎年の地代を農産物で受け取る。
? 自治体の準構成員としての地位を得る。
(祭等への参加も含む)
? 農地視察時の安価な宿泊提供を受けられる。
(食育活動、子供合宿等も含む)
? 農業活動に係る年次報告を受けられる。
9.営農株式法人の概要
証券化された土地を賃借して営農に従事する法人。当該法人が発行する営農株式を
都市住民(国民)が購入することで、土壌改良後の営農にかかる資金を支える。
? 一般の株式会社ではなく、農地証券・農業株式市場への登録を条件とする。
? 営農方法は継続的に環境汚染を発生させない農業に限る。
→証券化された農地の農業目的外の使用は認めない。
10.営農株式法人評価機構の創設
株式取引の円滑化のため、経営を評価し、株式購入者への客観的な情報を提供する。
? 株式所有割合の制限が必要。
? 各法人には財務内容の公表を義務付ける。

by 田村安  at 08:02  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

「新・農業再生勉強会」設立趣意書

国家の安全保障の根幹は食料です。現在の日本の食料自給率は40%。これは60%の国民を人質にされているということ。後継者のいない農家が耕作を放棄するたびに自給率が下がり続けていきます。食料輸入国とされる英国でさえ自給率は70%、わが国の水準は先進国として危険水位を超えています。有事に食料輸入が途絶したら、多くの国民が餓死することになります。さらに農地土壌は化学肥料と農薬の大量投入により活力を失い、化学肥料を使い続けなければならず、その化学肥料と農薬も輸入原料や化石燃料がなければ生産できないため、国内農業生産は一層落ち込むことが予想されます。経済発展著しい中国が食料輸入国となったことで、食料の国際市場は調達競争が激化すると予想され、このままでは日本は存亡の危機に瀕することになります。

現在、わが国の農業には産業として成立できる要素:継続生産しうる農地、良質な労働、資本の全てが欠けています。そのため、このインフラ創造が急務といえますが、国が財政から全面的に負担することは不可能、地方にも力がありません。そのため、この国家的な難局を乗り越える際、国民全体が結束して支援する必要があります。

エコファンドという環境に特化した企業への投資を目的とし、利回りを優先しないファンドが主婦層を中心に人気を集めています。都市部では今後も住み続けられる環境と健康な快適な生活を求めるLOHAS層が増えています。金銭欲ではなく、社会貢献や自己実現が投資の目的になるのは成熟社会の特徴です。すでに郵便貯金資金を含めた巨額の資金が動き始めていますが、農業再生に使われてはいません。理由は担保となる制度がないことと、在来農業自体土壌や水資源を汚染しており、環境配慮の視点が欠けていることと考えます。

そこで農地土壌の汚染除去事業を実施して、環境回復と安心できる持続性のある農業を実現することを目的とし、農地土壌改良のストックを証券として取引できる制度を創設すれば、この資金を取り入れることことができると考えます。その農地を耕作する主体は継続性のある農業法人として、雇用による若年労働を導入します。また都市の証券購入者は農業のステークホルダーとなり、モラル面からも農業を支えるものと期待されます。

こうして、戦後続いてきた農家個人による農業から、都市を含めた国民社会全体が支える農業へと脱皮し、30歳-40歳代働き盛りが持続可能な営農できる事業環境を実現します。土壌と水の環境保全にとどまらず、将来への農業継承を推進することで、わが国の食料安全保障のレベルを高めることに貢献することを目論みます。


2006年4月14日


無断転載を禁じます。 Copyright(c) 2006 Yasushi TAMURA. All rights reserved

by 田村安  at 08:01  | Permalink  | Comments (1)  | Trackbacks (0)

農地証券化及び営農株式法人による地方活性化の概要

                                            平成16年10月29日
                                             田村 安

1. 日本農業の将来ビジョン
・地方農村地域の活性化
・国産食糧の確保と自給率向上による食糧安全保障の確立
・国民に支持され購買される、安心で持続可能な国内農業環境の確保
・都市住民の農村地域の自然とのふれあいによる憩いの確保
2.ビジョン達成の方法
都市住民(国民)を「農地証券」や「営農法人株式」を媒介にステークホルダー(利害関係者)として農村に関連付け、農業の担い手を従来の個人から社会へと移行させていくことで国内農業の振興と持続を図る。

3.農地証券とは
  農協が証券化に賛同する組合員の所有農地を担保として発行する証券。農地証券を発行する農地を環境保全型のものに限定することで、都市住民(国民)の農村活動への理解と協力を得ると同時に、国産農産物への購買意欲を持続、向上させる。

4.営農法人株式とは
   証券化された土地を賃借して営農に従事する営農株式法人が発行する株式。当該株式を都市住民(国民)が購入することで、土壌改良後の営農にかかる資金を支えると同時に、都市住民(国民)が農業経営に参加することで、経営ノウハウや消費者ニーズの提供を図る。また、農村に経営資金が入ることで、農業の生産性向上や雇用の発生などの効果も期待される。

5.農地証券及び営農株式に係る国の責務
 国民が農地証券及び営農株式を購入することは、本来国家の責務である「持続可能な社会の実現」、「国産農産物の振興による食糧安全保障」に協力することであり、これに係る国家支出を軽減し、地方経済振興にも利するので、国はあらゆる面で農地証券及び営農株式について支援・優遇措置を図ることとする。
? 支援措置
・農地証券に係る土壌改良基金の創設(詳細、下記7.(2) )
・農地証券に係る農地の保護
→国は、担保農地が自然災害に遭った場合の復旧を証券発行者に義務付けるが、復旧費用は国が負担し、証券所有者には損失を課さない。

? 農地証券、営農株式に係る優遇措置
農地証券、営農株式は譲渡可能。取引税・贈与税の対象外とする。
→制度の目的上、相続などによって農地面積を減らすことはあってはならない。

6.農地証券発行と流通のプロセスの概要
  農地証券の発行主体は農協とする。農協は、管轄の農地証券発行を希望する農家の農地について、土壌改良基金の融資の基に土壌改良を行い、証券格付機関から土壌改良度合いに応じて証券格付を受けた上で、農地証券取引市場を通じて都市住民(国民)に農地証券を販売する。
 (注)登記簿上の農地所有者は現有農家で変更はない。

7.農地証券発行と流通のプロセスの説明
(1)農地証券発行の条件
 ? 証券発行を受けられる農家は、農業による水質汚染、土壌劣化等を食い止め、地力と生態系を回復し持続可能な社会に貢献する者に限る。
? 農地証券発行の担保には環境保全型農業に適する土壌改良された農地のみが対象となる。土壌改良の資金は土壌改良基金が融資する。
? 「土壌改良された農地」とは土壌に残留する農薬・化学肥料などの化学物質を次の方法で除去した環境保全型農業に適する農地であり下記のものを指す。
 A.JAS有機認証基準を満たしている場合。
 B.土壌を(1.5m)以上掘削して表土層を除去して、原野等の土壌または施設にて土壌改良処理を施した土壌に入れ替えた場合。

(2)土壌改良基金の創設
農協が組合員の農地を証券担保とするために土壌改良を行う際に必要な資金を貸し出す目的で基金を創設する。基金は、下記の点に留意しつつ活動を行う。
? 土壌改良対象の農地を融資担保とする。
? 貸し出した資金は無利子として、証券販売によって得た資金が返済に充てられる。
? 土壌改良事業を実行できなくなった場合は即時返済とする。
? 返済できない場合は担保農地を没収する。

(3) 農地格付機関の創設
各農地の土壌改良度合いに応じて、農地の格付を行う機関を創設する。基金は、下記の点に留意しつつ活動を行う。
  ? 土壌改良の度合いを判定し3ランク程度に格付を行う。
  ? 各県に機関を設置、その上に全国組織を設けて格付の差異が生じないように監査する。
  ? 評価ランクに応じて証券担保の価値を決める。
? 評価ランクが上がれば証券の追加発行を可能にする。

(4) 農地証券・営農株式取引市場
  農地証券・営農株式市場機構を非営利目的で創設する。
  ? 農地証券発行者は全てこの市場に登録する義務がある。
  ? 取引窓口は全国の都市、地方にネットワークを持つ郵便局の金融部門を利用する。
  ? 短期保有を禁止する。(投機目的による影響を防ぐため)
? 農地証券を抵当、担保とすることを禁ずる。

8.農地証券所有者の権利
  証券所有者は、下記のメリットを享受すると同時に、農村社会の一員として農村の活性化を担う。
  ? 毎年の地代を農産物で受け取る。
  ? 農協の準構成員としての地位を得る。
(祭等への参加も含む)
  ? 農地視察時の安価な宿泊提供を受けられる。
   (食育活動、子供合宿等も含む)
? 農業活動に係る年次報告を受けられる。

9.営農株式法人の概要
   証券化された土地を賃借して営農に従事する法人。当該法人が発行する営農株式を都市住民(国民)が購入することで、土壌改良後の営農にかかる資金を支える。
   ? 一般の株式会社ではなく、農地証券・農業株式市場への登録を条件とする。
   ? 営農方法は環境保全型の農業に限る。
     →証券化された農地の農業目的外の使用は認めない。
   
10.営農株式法人評価機構の創設
   株式取引の円滑化のため、経営を評価し、株式購入者への客観的な情報を提供する。
? 株式所有割合の制限が必要。
? 各法人には財務内容の公表を義務付ける。


無断転載を禁じます。 Copyright(c) 2004 Yasushi TAMURA. All rights reserved  

by 田村安  at 07:59  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

「都市住民を取り込んだ農業再生」 に関する私的勉強会設立趣意書

国家の安全保障の根幹は食料です。現在の日本の食料自給率は40%。これは60%の国民を人質にされているということ。後継者のいない農家が耕作を放棄するたびに自給率が下がり続けていきます。食料輸入国とされる英国でさえ自給率は70%、わが国の水準は先進国として危険水位を超えています。有事に食料輸入が途絶したら、多くの国民が餓死することになるのです。さらに農地土壌は化学物質で汚染されて地味が抜けてきており、化学肥料と農薬も輸入原料や化石燃料がなければ生産できないため、国内農業生産は一層落ち込むことが予想されます。このままでは日本は存亡の危機に瀕することになります。

WTOの求める農業市場開放とは、国際競争力に劣る中山間農地を多く抱え、零細農業者の多いわが国を直撃し、農業を崩壊させ、地方経済の破綻を招き、自国内食料生産が不可能になり、国家自体が国際食料資本の意のままに翻弄される危険を意味します。そして地方経済が疲弊すると、デフレは一層深刻化します。

この国家的な難局を乗り越える際、同様な危機感を持つEUが実施している「地方発展政策」(Rural Development Policy)は、わが国にも大いに参考になります。RDPでは環境の保全、とりわけ都市消費者が求める食の安心・安全、汚染されていない土と水の確保、田園の景観維持、伝統の保持などをキーワードとして都市消費者と地方農業者を結び、国民全体で農業を守り育てようという意識を共有することにより、環境保全を掲げるオーガニック農業とオーガニック生産物流通への財政支援を正当化しています。又、同時に環境に配慮した国産農産物の高価格は当然のことと消費者に納得させることによって、農産物輸入自由化に対抗しています。

わが国でも農業危機に対処するため、EU同様の地方発展政策を導入することが急務と言えますが、そのためには国民全体、とりわけ都市消費者の支持を取り付けることが必要です。しかし、都市と地方の結びつきは掛け声だけで作れるものではありません。今日大多数の消費者は生産現場を見たことがなく、農産物が外国の大農場で作られようが、国内の農家が育てようが、同じ「価値」としか評価しないのですから、自然に「価格が安い方がよい」という選択をしがちです。食育を通じて食べ物と生産者のつながりをしっかりと知らせる必要があります。しかし一方、かなりの都市消費者は「食の安心・安全」を求めて、自家菜園を耕したり、市場に依らない生産者直接またはグループを通じて農産物を取り寄せて、高額の支出をしています。生産へと近づきたい都市住民もたくさんいます。

こうした個々人の「食の安心・安全」を願う気持ちを増幅させ、国全体の安心・安全である「持続可能な農業」へとつなぐべきです。「無関心な都市消費者」を嘆くだけでなく、積極的に「都市と地方が一緒に責任を持つ」関係を構築すればよいのです。それには都市住民にも農業関係者となって一緒に農業を支える気持ちを抱いてもらうしかありません。

そして、戦後続いてきた農家個人による農業から、都市を含めた国民社会全体が支える農業へと脱皮し、30歳-40歳代働き盛りの担い手が安心して営農できる事業環境を実現します。土壌と水の環境保全にとどまらず、将来への農業継承を推進することで、わが国の食料安全保障のレベルを高めることに貢献することを目論みます。


無断転載を禁じます。 Copyright(c) 2004 Yasushi TAMURA. All rights reserved

by 田村安  at 07:57  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

日本経済の構造転換におけるオーガニック農業の役割 (私見)田村 安

今日のデフレは、高度成長を前提とした日本の経済が成長の限界に達し、低成長経済への構造転換を余儀なくされたことにより生じたものであり、社会構造との歪みの修正が過去の延長線上には対策を見出せなくなったために、デフレスパイラルに入ってしまった。デフレは金融の病であると捉えられがちであるが、根本的には、消費者の心理が生み出す幻影といってもよい。つまり、消費が適切に行われないことに起因する。
消費者がなぜ適切な消費を行わないかというと、次の要因が考えられる。
1. 低生産性産業の崩壊と金融不良債権問題の不透明
2. いつでも誰にでも起こりうるリストラによる雇用不安
3. 中国製品に代表される低賃金国への生産シフトによる低価格化
4. 絶対的付加価値の減少による低賃金化

デフレからの脱出には、これらを解決し、消費者の心理を回復することが必要である。その解決策のひとつが地方経済の活性化である。消費者心理と地方経済の活性化のために、オーガニック農業の推進を提案したい。
わが国の農業自給率は極めて低く、これを高めることが農業政策の課題となっている。しかしながら、アメリカの開放圧力と大手流通による中国での農業開発輸入という、今日の国際状況はこの改善を極めて難しいものにしている。品質に大きな差が無ければ、消費者は安い物を購入する。さらに、BSE問題から鶏肉詐称問題など、国産農産物の品質に関する信用は失墜した。このまま手をこまねいていては、日本の農業はさらに衰退し、自給率の低下を見るのは必然である。信用回復の切り札はオーガニック農業である。
ヨーロッパで行われているオーガニック農業は、EU政府の環境政策と農業政策の柱の1つとして位置付けられている。農業分野でのEUの脅威はアメリカと発展途上国である。
比較的小規模で労働賃金の高いEUの農業者にとって、国際競争に直面することは、存続の危機といえる。そのため、EUは農業を保護する政策を取ってきた。しかしながら、WTOは、これまでの農業補助政策の撤廃を迫ってきた。そこで、EUは環境政策を前面に打ち出し、そのための保護政策を進めるという立場を打ち出した。
これは、慣行農業は化学肥料や農薬の使用により、土壌、水、大気の汚染の原因となっているとし、環境負荷の低いオーガニック農業への転換とその発展のために補助を行うというものである。

オーガニック農業は慣行農業と次の点で違っている。
1. 植物に直接栄養を与えない。
2. 危険な化学物質(除草剤や農薬など)を用いない。
3. 遺伝子操作技術を用いない。

1. このため、土地固有の生産性を超えての生産はできない。
2. 労働を多く必要とする。
3. 輸送・保管は厳密な管理を必要とする。

これらは生産・物流コストの著しい上昇を意味する。そして、消費者がオーガニック生産物を購入するようになれば、生産・流通における大きな付加価値が生まれることになる。重要なことは、このオーガニック生産による付加価値をアメリカや中国に持っていかれないようにすることである。この2つは大きなかかわりを持っている。つまり、消費者がオーガニック生産物を購入する動機を健全に創りださねば達成できないということである。そこで、環境政策ということが重要性を帯びてくる。
今日、都市に住む消費者にとって、農業はすでに過去の産業と思われている。しかし、田舎の自然景観や水源地の保護などは、自分自身に関わる身近な問題として認識され得る。耕地のオーガニック化を環境政策の柱として位置付けるということは、これら都会の消費者を取り込むことに他ならない。
一方、残念ながら、農業は産業として、税金による支援なくして成り立たない。都会の消費者=他の産業の担い手からの理解を得ずば、崩壊してしまう産業である。
そこで、環境政策を前面に打ち出すことで、都会の消費者(税金の負担者)を味方につけるのである。
都会の住民には今後も住み続けられる社会を実現するために、「土壌と水を汚染から守る」というライフスタイルとしてのオーガニックを提唱し、農地のオーガニック化に貢献するために、自らの負担(高い価格の支払いと税金)を理解してもらうこととなる。そのため、田園維持政策という側面を強調することである。そして、同時に前述の2項目の達成を目指す。この意識を認識した消費者は値段が安いからといって、安易にアメリカ産や中国産に飛びつくことはないだろう。これらの消費者は農産物のトレーサビリティーに敏感になっている。したがって、減農薬等では納得しないことは明白である。
もちろん、意識を持たない消費者は、安価な農産物の購入を続けると思われるが、高い付加価値を付けられないこの流通は、大型流通以外で成立することが困難になっていくことと思われる。
今日の日本の農業者の状況を見ると、オーガニック化は困難なように見える。農業人口の2/3は65歳以上である。(体力と柔軟性に欠けている。)専業農家は20%に過ぎない。(専門的農業経営技術に欠けている。)農業用地には政策的休耕地が多く、廃業による棄耕作地も多い。オーガニック農業の経験をもつ農業者はほとんど皆無である。
この現状はヨーロッパと較べると、目を覆いたくなるような惨状といえる。
ところが、今日の経済状況を考えると、幸いであるといえる。
なぜならば、今日の農業は産業としてほとんど「無」なのである。
デフレの克服にはこの「無」の産業の存在は極めて大きな意味を持つ。
高付加価値化できない産業を高付加価値型の産業に置き換えることが構造改革であるが、農業分野もまた、構造改革を行わなければならない。
構造改革を行う上での障害は、ついていけない層の失業である。しかし、農業に関して言えば、そのほとんどが年金受給者なのである。従って、失業の発生を問題視する必要性が極めて薄い。また、休耕作地・棄耕作地の存在は土地生産性の悪化を吸収しうる。(実際、EUの田園農業政策は、生産性を低め、市場における競争の緩和をも目的の1つとしている。)
ここで必要な施策は、下記の通りである。

1.   農地のオーガニック化を環境政策の柱のひとつとして国策にする。
      (ドイツ政府は5年間で耕地10%のオーガニック化を公約し、10年で20%とすることをめざしている。
オーストリアはすでに10%を達成し、将来的に50%をめざしている。)
2.   消費者への地方農業政策支援キャンペーンを展開する。
  (ライフスタイルとしてのオーガニックを普及する。)
3. オーガニック農業技術研究を拡充し、地域特性を踏まえたオーガニック農業技術者・技能者・経営者を総合的に養成する公的機関とする。
4.   65歳以上の農業者の引退を促す。(年金・奨励金・税金の優遇策など)
(意欲と実力のある人は指導員となってもらう)
5. 赤字農協の清算を促し、一方、農家の借金を無くす方向で対策を講じる。
   (農協の役割はすでに変ってきていることを考慮する。=金融面の見直し)
6.   農地を証券化し、農地の流動性を高める。
7.   農業法人化を進める。
8.   農業株式・証券市場を創設し、資金の調達と都会人の関与の場を作る。
9.   構造改革で生じる他産業よりの失職者を労働力として投入する。
10. 除草、収穫などの季節労働市場を作る。(NPOなども活用する)
11. JAS有機認証制度を改正し、認証団体を減らし、透明性を持つ公的監査機関(政府委員・消費者委員・国際委員を含む)を設け、更なる信用創出に足るものとする。(民間ではなく、地方自治体などの公的機関が無料で認証する方が望ましい。農協が書類作成などの指導、補助を行う。)
12. 日本の実情に合わせ、米作り等が現実的にできるよう、使用できる農薬の種類を時限的に緩和する。
13. オーガニック農産物の公設市場を開設し、商店や飲食店が自由に調達可能として売り先確保と共に商店街活性とも連携する。
14. 大手流通には日本の耕地オーガニック化に協力する姿勢を要求する。
  (ヨーロッパの大手流通はEUのオーガニック化に協力する姿勢をとっている。)
15. アメリカと発展途上国という、共通の脅威を有するEUと日本の農業政策の連帯をはかり、これに対処する。

農業への資本注入は、地方経済を活性化し、地方金融機関の自立に貢献し、日本経済全体の浮揚効果を発揮する。優良な消費者に向けたオーガニック生産物により、流通は付加価値を再び生み出すようになるだろう。こうして、オーガニック農業の推進には、地方経済の活力を高める効果が大いに期待される。また、これまで、建設業界が失職者を多く受け入れてきたが、現在は公共工事が減り、厳しくなってきている。そこで、農業を失職者の受け皿とすることにより、経済構造改革を実行に寄与しうる。当然だが、本来の目的である、水と土壌の浄化が達成され、国土の保全に貢献し、将来への負の遺産を減らすことになる。
低成長経済の下でEUがこれまで行ってきたオーガニック農業政策は、日本にとっても切り札になりうるものであり、現状が難しく見えるというだけで、ないがしろにしてはならない。いまこそ、英知を集めて断行すべきである。


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by 田村安  at 07:52  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

フランスオーガニックワイン生産者訪問8

ベリュー家を後にして、土砂降りの夜道を走りカルカッソンヌに着いたのは夜の8時近く。いかに大雨でも夜景のシテ(城壁都市)を見なければと、橋まで散歩。水滴に滲んではいるものの美しくライトアップされて浮かび上がったシテの姿はずぶ濡れになってもその価値あり。

カルカッソンヌの城壁

翌朝も雨はあがらず、しっぽりと濡れたシテを訪問。石畳には雨が似合うと再確認。冬の雨で訪問者が少ないことも却ってよかろう。何度訪ねても、テーマパークのような作り物ではない、中世の姿そのままが残されていることに感動。

タリ家はこの城壁が見える距離にあり、真直ぐに伸びる水路沿いに伝って15分ほど。
この辺りはAOCカバルデスの産地だが、僕が始めてタリさんに出会った1998年当時、カバルデスはAOC(Appellation d'Origine Contrôlée:原産地統制名称ワイン)ではなくVDQS(Vins Délimités de Qualité supérieure:原産地名称上質指定ワイン)というワンランク下の格付けでした。AOC拡大というか呼称インフレのお陰でAOC入りした産地です。
僕にとってはAOCでもVDQSでもVdP(Vin de Pays:地酒)でもVT(Vin de Table:テーブルワイン)でもおいしいものはいいし、まずいものは不要。ただ世間一般ではランクの差は絶対だと思われています。
タリさんのカバルデスはその後AOCを名乗っていますが、ほかのワインはどれもみんなVdPです。マヴィ11周年シャルドネはAOCでなくても軽やかで素晴らしい清楚なワイン。同じシャルドネでも樽熟は熟成過程だけでなく発酵も樽という徹底ぶりで重みのあるワインなのとは対照的。

シャルドネの樽
シャルドネを樽から試飲! 

タリさんの家はモダンな新築、家具やインテリアも素晴らしいセンス。これはマヴィのどの生産者を訪ねても感じるのですが、いいワインを造る人はセンスのいい家に住んでいる!ワイン造りは感性の勝負だからなのでしょう。いつも自分が選び抜いた中に住むことで磨かれるんだろうな。

タリ家のリビング タリ家の食卓

タリ家の長男はパリの超エリート校に進学、お嬢さん二人が一緒に食事に加わりましたが、そのままモデルで通用する美形!タリさんとはマヴィ創立以来11年を超すお付き合いで、ガブリエルさんの膝で遊んでいた幼稚園生がもうこんなに育ったかと思うと歳月を感じてしまいました。

タリ家の美女たち



オーガニックワイン連続講座 〜フランス各地方&ヨーロッパのワイン産地編〜(全10回)

赤坂店で人気の「オーガニックワイン講座地方編」をバージョンアップ。全10回の連続講座でお届けいたします。
もちろん現地の写真などもたっぷり交えつつ、1時間で産地の基礎知識が得られるだけでなく、その土地のワインも2種類〜3種類味わっていただけます。お申込みはお早めに!

<講座内容>
・第1講:6月17日(水) ボルドー地方
・第2講:7月28日(火) シャンパーニュ地方
・第3講:8月25日(火) アルザス地方
・第4講:9月15日(火) ローヌ&プロヴァンス地方
・第5講:10月27日(火) ブルゴーニュ地方
・第6講:2010年1月 ラングドック&ルーション地方
・第7講:2010年2月 ロワール&コニャック地方
・第8講:2010年3月 ドイツ
・第9講:2010年4月 スペイン
・第10講:2010年5月 ポルトガル


※講座の詳細・お申込みはこちら


田村安の5月後半のオーガニックワイン講座案内

入門編@マヴィ札幌店
5月28日(木): 19:00〜20:00
5月29日(金): 19:00〜20:00

ボルドー編@マヴィ札幌店
5月29日(金): 14:00〜15:00
5月30日(土): 14:00〜15:00

by 田村安  at 10:29  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)