ワイン情報 >お料理・コラム・講演録 >店主の部屋 >オーガニックワインの保管に冷蔵庫のリサイクル利用

オーガニックワインの保管に冷蔵庫のリサイクル利用

ヨーロッパでは、ワインは地下室に寝かされているものと相場が決まっています。
都会のアパルトマンでも共同の地下室にカギのかかるワインカーブが用意されています。
地下室の温度は、1年を通して10〜18℃。湿度もかなりあり、ワインの保管には最適です。
ワインの好きな温度は、14〜15℃で、適度の湿気(70%)が必要です。

通常日本で市販されているワインには、大量の合成保存料が入っていますので、余り神経質にならなくても大丈夫です。SO2(亜硫酸塩)は、メタ重亜硫酸カリウムをワイン液体中で化学分解させて発生させ、隅々まで行き渡っていますし、イタリアワインなどには大変効き目の強い薬品のソルビン酸が添加されている場合があります。
また、ワイン自体が多少劣化したところで、合成香料や酸味調整剤、合成タンニン、着色料などを使っている場合は、気になるほどの変わりはないでしょう。

一方、二酸化硫黄(SO2)を極少量封入しただけのオーガニックワインにとっては、気温や湿度は大問題。30度以上になる場所に数日間、おいただけで致命的なダメージを受けます。もともと弱い上に、香料などの合成添加物などはいっていませんから、劣化したワインはごまかしようがありません。

冷蔵庫に入れればよいのではと思われる方も多いと思いますが、冷蔵庫は温度が0℃〜6℃と大変低く、そのうえ乾燥しています。
ある有名レストランで、ワイン用保冷庫を新人サービス係がビールを冷やしたいと、4℃に設定、水も入れておかなかったため、からからになってしまい、2−3週間で大変なダメージを出したことがありました。マヴィからのオーガニックワインは全滅。風邪をひいたような、いがらっぽい味に変わっていました。ところが、一緒に入っていた他社のワインの味は全く変わっていませんでした。(さすが薬品添加の効果!)

冬場、底冷えのするブルゴーニュなどのオーガニックワイン生産者は、ワイン庫に暖房を設け、サーモスタットで10℃以下にならないように注意を払っているほど、オーガニックワインは繊細なものなのです。

私は、10年以上暮したヨーロッパから日本に戻ってきたとき、300本のワインを持って帰ってきました。日本の夏に向かっていく季節、切羽詰って辿り着いたのが、冷蔵庫を改造してワイン庫を作るというアイデアでした。

たまたま、15年以上使った古い大型冷蔵庫が余っていたため、だめもとでこれをいじってみたのです。
サーモスタットを10℃台で設定できるものに変更することが、改造の中心です。
アナログの可変式サーモスタットを秋葉原の坂口電熱で見つけました。品番は13L-1というもので、0℃〜40℃設定可能、3000円でおつりが来ました。(高いデジタル式サーモスタットは必要ありません。)
元からついているサーモスタットをはずして、付け替えるだけです。配線はコネクターですから、半田ごても不要です。(コネクターはペンチでサイズを少し合わせました。)

ところが、使った冷蔵庫がたまたま3ドアでしたので、3室の温度が揃わないことに気が付きました。そこで、各貯蔵室間の壁に穴をあけ、空気が循環できるようにしました。この作業はちょっと大変で、プラスティックはカッターで切断、断熱材の発泡スチロールは半田ごてで溶かしてぶち抜きます。冷凍室と冷蔵室の境には冷却管が通っていますので、傷をつけない注意が必要です。
寒暖計を各室に入れて、様子を見ましたところ、数日で安定。成功でした。
120本のワインが収容できるワイン庫がたったの3000円で出来上がりました。

湿度は水を入れた小さな容器を入れてあるだけですが、 15℃の場合、4℃と較べ、空気中の水分量がずっと多くあり、全く問題ありません。コンプレッサーの振動も、頻繁にはスイッチが入らないため、影響はほとんどありません。

その後、多くの冷蔵庫改造を手がけましたが、小型の冷蔵庫の場合、構造上サーモスタット交換だけで済み、気軽にできることもわかりました。棚は濡れるわけではないので、ベニヤ板で充分です。

オーガニックワインをおいしくお手軽に楽しむには、この冷蔵庫改造ワイン庫が絶対のおすすめです。家に余った冷蔵庫がなくても、電気屋さんに話せば、すぐに手に入ります。新しい冷蔵庫を納めたときに、古い冷蔵庫の処分を頼まれることが多いし、ゴミは有料ですから、きっとタダで譲ってくれます。新品の高いワイン庫を買うより、ゴミ減らしにもなるリサイクルなら一石二鳥です。

具体的な製作方法を下記に詳しく説明しましょう。

1. 冷蔵庫の入手

改造に使用する冷蔵庫は、ただ冷やすだけのシンプルな構造のものが最適です。
50-60年代のアメリカ映画で出てきそうな1ドアのタイプです。
日本では、70年代より2ドアの冷凍冷蔵庫が普及してきましたので、アメリカングラフィティーなんて夢でしょうが、基本的には2ドアも冷凍庫に冷却機のON-OFFのためのサーモスタットがあり、冷蔵室には冷凍室の冷気を別のサーモスタットで調整して冷蔵室に取入れるものがほとんどです。
3ドアの野菜室などは、冷蔵室の冷気をさらに調整して取り入れる構造です。

冷蔵庫の冷却装置自体が壊れることはめったになく、買い替えは単に古くなったからとか、引越でスペースが変わったとかいうことがほとんどです。どうせ改造するのですから、リサイクルで入手することをおすすめします。電気屋さんに声をかけておけば、だいたい、ただで手に入ります。

最新式の冷蔵庫は、コンピューター制御で省エネのうえ多機能で便利なのですが、アナログな改造にはちょっと不向きです。
単身者用の小型冷蔵庫の場合、ただ冷やすだけのシンプルなものもありますので、新品でも使えます。

2. サーモスタットの入手

サーモスタットにはアナログ式のものと電子式のものがあります。
アナログ式は、温度設定がやや大雑把ですが、価格が安いのが特徴です。
電子式は、温度設定が表示どおりで正確ですが、高価です。
ワイン庫の場合、13-16℃くらいが保たれれば良く、電子式の精度を要求されません。
したがって、アナログ式で充分です。
価格は、インターネットで調べると、結構高く、8000円以上するものがあるようですが、秋葉原の坂口電熱でなら、3000円を切って入手できます。品番は13L-1です。
このサーモスタットでかなりたくさん作りましたが、トラブルは経験していません。

サーモスタット

3. サーモスタットの交換

交換するサーモスタットは、冷却機をON-OFFするものです。
これは、大型タイプの場合、通常、冷凍室の中にあります。
単身者向けの小型冷蔵庫の場合、冷蔵室にあることが多いようです。
ネジで固定されていると思います。
外しますと、サーモスタットには数本のコードがつながっています。
必要なのは、ON-OFFのための2本だけです。見分け方は、電源を入れて、コネクターを外して、冷却機が停まるものを2本選び出します。他のコードは、霜取りヒーターなどのものですから、不要です。
必要な2本を、新しいサーモスタットの1端子と4端子に接続します。
元々のコネクターの寸法が合わない場合は、ラジオペンチやドライバーなどで調整してください。はんだ付けは禁止です。

使用しないコードのコネクターはビニールテープで絶縁しておきます。
サーモスタットの固定は元の部品をネジ穴をあけなおすなど加工して使われるのが良いでしょう。(ON-OFFの機能上だけなら、固定しなくてもかまいません。)

サーモスタットの感熱チューブ部は折れやすくなっています。伸ばすときも曲げるときもそろりと注意深く、つぶさないようにしてください。
感熱チューブはじゃまにならないところに、ビニールテープなどで、固定してください。

1ドアや、単身者用の小型2ドアならばこれで完成です。
大型でも、サーモスタットを入れた部分のみ使う場合はこのまま使えます。

サーモスタット

4. 大型冷蔵庫の各室隔壁撤去

大型の2-3ドアですと、各室の境の隔壁ををなるべく取り払い、全体に冷気を行き渡らせて、大きなワイン庫として使いたいものです。
まず、冷気の調整をしている(通気口の開け閉めで)サーモスタットを撤去します。
冷凍室と冷蔵室の隔壁はプラスティックでできており、中には冷却用のコアがあり、発泡スチロールの断熱材が入っています。冷却用のコアを傷つけますとフロンガスが洩れて、冷蔵庫は粗大ゴミになってしまいます。また、コアをむき出しにするわけにもいきません。そこで、半田ごてを使い、プラスティックと断熱材を溶かして、穴をあけます。この穴をたくさん開ければ冷気が良く流れ、全体が同様に冷えることになります。
かなりしっかり開けても温度差はできます。そこで、白ワインを元の冷凍室、赤ワインを冷蔵室と使い分けましょう。

5. 棚の製作

冷蔵庫には、元々棚がついていますが、いらない出っ張りがあったり、プラスティックがもろく、ボトルの重みに耐えられない場合があります。そこで、ボトルを並べる棚は5mm厚くらいのベニヤ板を冷蔵庫の幅に切って使います。このベニヤ棚板をもともとあった棚を支えるスリットに差し込むだけです。スリットの高さが気に入らない場合は、冷蔵庫の内側側面に支え木を立てて、それに固定すればできます。

棚

6.温度管理

ボトルを入れる前に温度計を放り込み、冷蔵庫の電源を入れ、様子を見ます。サーモスタットを調整して、14-5℃になるようにしてください。(冷蔵庫を移動させた場合、冷媒のフロンが落ち着くのに少し時間がかかりますので、30分以上置いてから電源を入れてください。)
ワインは最初からたくさんいれずに、少しずつ増やしていく方が、安定するようです。

7.湿度管理

コップかバットに水を入れて冷蔵庫の中に置きます。冷蔵庫として使う低温ではなく、14-5℃ですと、あまり乾燥しませんので、この程度で十分です。

このワイン庫さえあれば、熱い日本の夏にめげずにおいしくオーガニックワインを楽しめます。たいした投資ではありませんので、ぜひ、週末の工作をされますようにおすすめします。

オーガニックワイン専門店マヴィ店主 田村 安

>>>ワインの保管方法(よくあるご質問)

カートの中身

マヴィ創立記念特別ワイン予約

13000円以上で送料無料

お客様の声

NPO法人オーガニック協会

オーガニックフェスタ

日本電子商取引事業振興財団